ネコの健康な食生活に欠かせない6つの栄養素。中でも肉食動物のネコにとって重要度が低いといわれるのが『炭水化物』
キャットフードについて調べていると『あまり穀物類の多い商品はおすすめできない……』こんな意見も目立ちますね。
もしかすると、このページをご覧になっているアナタも

こんな風に考えていませんか?
ネコの栄養素に関する文献やサイトをみても、
『炭水化物が多めでもじゅうぶんに消化吸収できる』という説もあれば『炭水化物が多過ぎると泌尿器系の問題や食物アレルギーを引き起こすリスクが高まる』とさまざまな見解が…。
そこで当ページでは、そんな炭水化物や穀物類がネコの健康に与える影響、キャットフードにおける炭水化物の必要性について解説しています。
先に結論からお伝えしますと、過剰な炭水化物はよくないですが、
- 他の栄養素では得られないビタミンやミネラルを補える
- 腸の働きを促したり、便秘を解消して免疫機能をアップさせる
こういった数々のメリットを考えて、当サイトの見解としては『適量は摂るべき!』と考えます。詳しく説明しているので早速みていきましょう!
チェック 炭水化物が苦手なネコにおすすめの厳選フード比較!!
なぜキャットフードには炭水化物が入っているの?
そもそも肉食動物のネコにとって、正直、炭水化物は絶対に必要な栄養素というわけではありません。
事実、自然界でわざわざ炭水化物を好んで食べるネコは少なく、炭水化物なしでも普通に生きていけます。
以下のイラストをご覧ください。

出典 猫といっしょ
このように、ネコは草食動物のように穀物類をすり潰して咀嚼するような歯のつくりをしておらず、ネズミのような小動物を食べることを目的としています。
キャットフードに炭水化物が含まれている理由
では市販のキャットフードに炭水化物が含まれているのはなぜでしょうか?
これは大きな理由として、キャットフードのかさを増し、同時に製造コストをおさえるためといわれています。
事実、炭水化物の割合を増やすことで、費用のかかる新鮮な肉類を減らし内容量を増すことができます。
よって安価なキャットフードになるほど、穀物類やアレルギーの原因となる炭水化物が多く含まれる傾向もあるのでご注意ください。
じゃあキャットフードの炭水化物はゼロの方がいいの?
そこでこんな疑問が生じる方もいるかもしれません。
たしかに穀物をすり潰して咀嚼するための歯の無いネコは、タンパク質と脂肪だけでもじゅうぶんに必要なエネルギーも吸収できます。
なので炭水化物を含まないキャットフードが理想的という意見もありますが、近年、適量であれば炭水化物にはメリットが多いこともわかってきました。
それが先に述べたような
- 他の栄養素では得られないビタミンやミネラルを補える
- 腸の働きを促したり、便秘を解消して免疫機能をアップさせる
という2つのメリットです。
炭水化物が苦手なネコとはいえ、捕まえたネズミ一匹をまるまる食べるにあたっって、ネズミの体内に蓄積されていた穀物・草などを消化吸収する程度の消化吸収能力は備わっています。
つまり良くないのは、キャットフードに含まれる消化吸収の悪い炭水化物が多過ぎること。
むしろ強く病気にかかりにくい体質になるためには、適度な炭水化物はプラスに働きます。
さらに突っ込んで、ネコにとって炭水化物はどんな栄養素なのか一緒にみていきましょう!
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ネコにとって炭水化物はどんな栄養素?
ではここからは、炭水化物のメリットや主な働きについて解説します。
ネコの食事に適量なら必要という炭水化物。その主な働きは『素早くエネルギーに変わる』という部分に他なりません。
同じくエネルギーとして利用される『脂肪』にくらべ、炭水化物はより素早くエネルギーとして利用できる上に、余ったエネルギーを肝臓などの蓄えることもできる。
こんな便利な栄養素という特長があります。
ちなみに大きく2つにわけた場合、①糖やデンプン質、②繊維質に区分することができます。それぞれの特徴を比較してみましょう。
糖やデンプン質と繊維質
炭水化物を 大きく2つに分けると、ネコの体内で消化できる『糖・デンプン質』と消化できない『繊維質(食物繊維)』に分けられます。
糖やデンプンは小腸において消化酵素によりブドウ糖まで分解され、即座に体内に吸収されます。
(※ただ人間にくらべネコちゃんは、もともと消化酵素が少ないため、とくに成長期の前半までの期間はデンプンの消化が苦手とされています)
もうちょっと詳しく解説しますので見ていきましょう。
糖・デンプン質の役割は?
炭水化物より効率よくエネルギーを摂取できる脂肪の場合、 エネルギーとして利用するにはとても時間を要します。
一方、糖・デンプン質などの炭水化物は、 食事から吸収した後すぐにブドウ糖に分解され 血液によって 体の隅々まで行き届き 即座に吸収されます。
また炭水化物から摂取したエネルギーは、余った場合は肝臓などに蓄えておくことも可能です。
脳や神経のエネルギーになる
デンプン質はブドウ糖まで分解された後、体内に吸収されて血糖(血液中のブドウ糖)として体内をめぐります。
脳細胞や神経細胞は、その活動するエネルギーとしてブドウ糖使用します。
これらのブドウ糖の元になっているのが糖・デンプン質などの炭水化物なのです。
まとめると、炭水化物の中でも糖やデンプン質は
- 毎日の運動や行動のエネルギー源として消費
- 体脂肪として体内に蓄積
- グリコーゲンとして肝臓に蓄積
という役割があります。
ネコにとって繊維質の役割は?
ネコにとって繊維質そのものはエネルギーとして利用することはできませんが、腸内において細菌の力を借りることで大腸内の働きを活発にします。
簡単にいうと、活動するエネルギーとはならずとも、整腸作用が期待できるということ。
適量の食物繊維をバランスよく取り入れることで、便の量のかさが増し、大腸の蠕動運動を活発にし、結果、腸内通過時間が適度に保たれ便秘を解消します。
食物繊維(繊維質)はネコにとって
- 腸内の運動を活発化
- 腸内細菌の栄養源
- 毛玉の排出効果
こんなメリットが期待できます。
糖・デンプン質、繊維質はどんな食材に含まれる?
糖やデンプン質は人間の場合、主食としている米、パン(小麦)などの穀物から摂れます。繊維質は主に野菜や果物のなどに多く含まれることはご存じですね。
これがキャットフードの場合、繊維質としてはセルロースやピーナツの殻、 ビートパルプ (砂糖大根の根の繊維)ペクチンなどから摂取することとなります。
同じ繊維質でも、種類によって発酵度合も違えば、便の量への影響も違ってきます。違いについては以下の表で比較してみてください。
繊維質の種類 | 発酵の度合い | 短鎖脂肪酸 | 便の量 |
---|---|---|---|
セルロース | 低い | 少ない | 多い |
ビートパルプ | 中 | 適量 | 適正 |
ペクチン | 高い | 多い | 少ない |
※繊維質に含まれる短鎖脂肪酸と便への影響、発酵度
発酵度の低いセルロースは便の量が増える反面、短鎖脂肪酸は少なく、発酵の度合いの高いペクチンは短鎖脂肪酸は多いものの便の量が減ってしまいます。
結果、適度の発酵され短鎖脂肪酸もじゅうぶんで、便の量も適度なビートパルプがキャットフードの繊維質としては適しているといえるでしょう。
【まとめ】キャットフードに炭水化物は必要!量とバランスが重要!
以上、キャットフードにおける炭水化物の役割、メリットとデメリットを詳しくお伝えしました。
結論としては、いくら肉食動物のネコでも肉類や脂肪ばかりを与え過ぎると、かなりの確率で便秘になるため、一定量の炭水化物はむしろ必要なのです。
また腸内環境が崩れてしまえば、さまざまな病気を誘発するリスクも高まります。昨今、腸内環境がネコの免疫機能と大きく関係していることもわかってきました。
とはいえ闇雲に炭水化物の量を増やせばいいのか……というと、そうでもなく、糖やデンプン質、繊維質のバランスやどんな食材から炭水化物を摂取するかも重要になります。
とくにアレルギー体質のネコちゃんだと、キャットフードに含まれるわずかな穀物類が原因となり発症するケースもあります。
つまり適量の炭水化物を含み、アレルギーの原因となりづらい炭水化物を使用したキャットフードをきちんと選ぶことが大切なのです。
選び方については以下のページ、【ネコのえさ、どれがいい?】キャットフード選びの基本と3つのポイント+1でも詳しく解説しています。
ぜひ当サイトを参考に、キャットフードに含まれる炭水化物をじっくりとチェックしてもらえたら幸いです!